街道にて
陰りはじめる斜陽の中を、軍隊は行軍していた。
行軍にしては彼らの顔はしぼみ、頭がたれ、どちらかと言えば受験発表があった赤門の前といったところだろうか。槍を杖にするもの、仲間の肩を借りるもの、様々な落胆がある。
ところどころで黒い噴煙が昇っている。酸っぱい臭いと、むせ返るような死臭からすると、おそらく死体を焼いているのだろう。火の周りでは皆一様に座り込み、談笑をすることなく、ただ黙々と火を眺めていた。
その中でひとり、鼻歌を歌う男がいた。彼は音楽学校に通う学生だった。今は兵士となり、首には二つの袋が掛けてある。一つは空。もうひとつには近所の肉屋主人の歯が入っていた。そして、今目の前で焼いているのは一人の男性だった。近所に住んでいたということはわかった。だが、名前は知らない。名無しの市民Aだった。
街道は一直線に首都バートルへ続いている。勢いを失った太陽は東の山脈の万年雪を黄金に輝かせ、その山麓はただオレンジ色に染め上げられていった。そんな中、その黒い煙だけは何ものにも染められず、穢れない純粋な死の灰を吐き続けていた。
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